2024/08/30 (更新日:2024/09/10)
膝半月板損傷とは?原因症状から治療法 湿布の貼る位置
膝半月板損傷とは? 原因症状から治療法湿布の貼る位置まで
膝関節は日常生活や運動において重要な役割を果たしていますが、ケガや加齢による劣化などで様々な障害が発生する可能性があります。その中でも膝半月板損傷は比較的多く見られる外傷の一つで、適切な診断と治療が必要不可欠です。本記事では、膝半月板損傷について、原因や症状、診断方法、治療法など詳細に解説していきます。膝半月板損傷とは
膝半月板損傷とは、膝関節内部にある半月板という軟骨組織が損傷した状態を指します。半月板は膝関節の安定性と衝撃吸収に重要な役割を果たしているため、損傷すると様々な症状が現れます。半月板の役割
半月板は大腿骨と脛骨の間に位置する三日月形の軟骨板で、以下のような重要な機能を持っています。- 膝関節の安定性を維持する
- 大腿骨と脛骨の間に生じる衝撃や荷重を分散する
- 関節軟骨の損傷を防ぐクッション材の役割を担う
半月板損傷の原因
半月板損傷の主な原因は以下の2つです。- スポーツ活動中などの外傷急激な方向転換や着地の際に過度の負荷がかかり、半月板が損傷することがあります。バスケットボールやサッカーなどのスポーツ中に発生しやすい外傷です。
- 加齢による変性年齢を重ねるにつれて、半月板の柔軟性が失われ、さらに血行不良も加わり、脆くなった半月板が損傷しやすい状態になります。40歳以上の方に多く見られる障害です。
症状
膝半月板損傷では、以下のような様々な症状が現れる可能性があります。膝関節痛
半月板損傷部位の痛みはもちろんのこと、膝関節全体の鈍痛や局所的な激痛を感じることがあります。痛みは歩行時や階段の昇降時、膝の屈伸時に増強することが多くあります。 一部の患者さんは、半月板損傷の痛みを「重い物を膝に載せているような圧迫感」と表現されます。長く座っていたり膝を曲げた状態が続くと疼痛が増強する傾向にあります。腫れや水が溜まる症状
半月板損傷部位では出血が生じるため、膝関節内に水がたまり腫れぼったくなります。この状態を「関節水腫」と呼びます。歩行時に膝が重くなったり、膝の真っ赤な腫れがみられることもあります。 一部の症例では、凝血塊ができて固まり、膝を伸ばしたり曲げたりするたびに激痛が走ります。このような症状は「膝関節鎖肛(さくこう)」と呼ばれ、早期の治療介入が必要となります。可動域制限や引っかかり感
損傷した半月板の一部が関節内に出っ張った状態になると、膝の曲げ伸ばしが制限されたり、グサッとひっかかる違和感を覚えます。重度の場合、膝が曲がらず突っ張った状態になる「ロッキング現象」が生じることもあります。 可動域制限が生じていると、階段の昇降や正座などの動作が困難になります。また、一部のスポーツ活動では、ジャンプ動作などにも支障をきたすことがあります。診断
膝半月板損傷の診断には、問診や理学的所見に加えて、以下の検査が有効です。MRI検査
MRI検査は半月板損傷の診断に最も有用な画像検査です。MRIでは、半月板の亀裂や断裂、部分的な欠損などをはっきりと描出することができます。また、他の靭帯損傷や骨損傷の有無も確認できます。 MRI検査で得られた画像所見や損傷部位、程度から、整形外科医が治療方針を立てます。その際、検査前に運動や休薬など、いくつかの制限があることにご注意ください。関節鏡検査
半月板損傷に対して手術が必要な場合、最終的に関節鏡検査が行われます。この検査では、膝関節に小さな切開を加えてカメラと器具を挿入し、直接損傷部位を観察することができます。 関節鏡検査では、MRIでは判断しづらい軟骨損傷の程度なども評価できます。そのため、最終的な手術方針を決める上で重要な役割を果たしています。治療
膝半月板損傷の治療法は大きく分けて保存療法と手術療法がありますが、最終的には損傷の程度や部位、活動程度などを総合的に判断して決定されます。保存療法
軽度の半月板損傷で症状が強くない場合は、まず保存療法が試されます。保存療法には以下のようなものがあります。- 薬物療法(消炎鎮痛剤やヒアルロン酸注射など)
- 理学療法(超音波療法、電気刺激療法など)
- 装具療法(膝サポーター装着による固定と負荷軽減)
- 運動療法(筋力強化運動や可動域訓練など)
手術療法
半月板損傷に対する手術療法としては、関節鏡を用いた以下の2つの術式があります。術式の選択は、損傷部位や程度、年齢や活動度など、様々な要因を勘案して決められます。- 半月板切除術(部分切除術・全切除術)損傷を受けた半月板の一部または全体を切除する術式です。比較的侵襲が少なく、術後2〜3か月でスポーツ復帰が可能となります。しかし、将来的に関節症リスクが高まるデメリットがあります。
- 半月板縫合術(修復術)断裂した半月板を縫合して修復する術式で、近年ではこちらが第一選択肢となることが多くなっています。リハビリ期間は4〜6か月と長めですが、関節症のリスクが低く、関節機能の温存が期待できます。